いったんキャッシュフロー表を作りましたけれど、大切な数字をまだ入れていないですよね。
- 会社の定年制度
- 会社の退職金制度
- 会社の健康保険制度
これらは定年後を考えるうえでとても大切なデータです。
人事の担当者になにをどう確認すればいいのか、ひとつひとつ解説します。
2025年時点の高年齢者雇用安定法
日本では「高年齢者雇用安定法」というのがありまして、現在の制度では定年は60歳以上にすること、65歳までは雇用することが決められています。
ときどき、「定年は65歳になったんでしょう?」と誤解される方がいるんですが、
- 65歳までの定年ひきあげ
- 定年制の廃止
- 65歳までの直接雇用
の、どれかが導入されていればいいので、ほとんどの会社は65歳までの直接雇用、つまり正社員は60歳定年で終わり、65歳まで契約社員で再雇用する制度を導入しています。
ちなみに、現在努力義務として以下の制度のいずれかを導入することとなっていて、
- 70歳までの定年ひきあげ
- 定年制の廃止
- 70歳までの直接雇用
- 個人事業主になってもらって、70歳まで継続的に業務委託契約する
- 会社が社会貢献事業を作って(あるいは出資して)、そこで働ける制度
現在60歳定年、65歳まで再雇用、という制度がそのまま65歳定年、70歳まで再雇用にスライドする時代が来るのが時間の問題です。
ちなみに公務員の定年が段階的に延長されており、65歳になる2031年ごろがそのタイミングではないかと、個人的には思っています。
あなたの会社の定年制度
もしあなたが企業の人事担当でなかったら、会社の制度に精通しているなんてことはないでしょう。
私は人事歴30年以上ですが、「もうちょっと規定を読んでくださいよ」と言いたくなる質問をたくさん受けます。
でも大丈夫。大切なことです。
この部分については人事担当に根掘り葉掘り聞きましょう。
「え、何?辞めるの?」って聞かれたら、「老後のお金の算段してるの」って答えたらいいのです。
定年制度って、会社ごといろいろです。
前項の通り、もちろん60歳以上でないといけないのですが、会社によって62歳だったり65歳だった
り、定年制度がない会社もあります。
また、全社員3月が定年月という会社もあれば、誕生月の末日という会社もあります。
自分の会社の制度がどのようになっているのか、この機会に調べましょう。
もうひとつ、役職定年制度についても調べましょう。
これも会社ごとに大幅に違います。
大量に新卒を採用する大企業は役職定年制度が55歳、65歳定年のところは60歳などと決まっているようです。
役職定年で給与が大幅に下がるところも多いので、調べておきましょう。
そして、それらのデータを前回作ったキャッシュフロー表に書き加えていくのです。
あなたの会社の給与制度
前項に書いた通り、65歳までの雇用が義務付けられています。
サラリーマンのみなさんは、希望すれば正社員、契約社員、いずれかの方法によって65歳まで雇用されます。
雇用も大事ですが、同時に給与も大切ですよね。
年齢によって給与が変わる制度がないかどうか、確認する必要があります。
旧来からの日本の給与制度、職能等級制度は年齢と職能で給与が決まっていく、いわゆる「年功序列」制度ですから、「60歳になったら年齢給が新人程度になる」など決められている可能性があります。
この場合、60歳以降正社員であっても大きく給与が下がる可能性があります。
職務級の場合、「同一労働同一賃金」の考えから、仕事が変わらなければ、給与は大幅には変わらないことになっています。
ただ、これも会社によってさまざまで、定年後再雇用で仕事も給与も変わらないところもあれば、仕事が変わって給与が大幅に下がるというところもあります。
ここは非常に大切なところなので、人事に確認しておきましょう。
給与が大幅に下がるということであれば、そのデータをキャッシュフロー表に反映させていかなくてはいけません。
あなたの会社の退職金制度
これまた会社ごとに制度が違うので、一律に説明できないトピックですが、大きなお金です。
調べましょう。
わが社は確定給付年金(キャッシュバランスプラン)なのですが、その場合は会社は毎年社員に個別の残高を知らせる義務があります。
5月の給与明細に、4月末時点の積立額が載ってくるんです。
それを見て、いまこんな金額になってるんだな、と誰もがわかります。
人事担当に、どのような方法で社員に個別残高を知らせているか、確認しましょう。
お知らせをさぼっている場合もありますが、その場合は現在額を人事に毎年聞いちゃいましょう。
「え、何?辞めるの?」って聞かれたら、「老後のお金の算段してるの」って、ここでも答えたらいいのです。
確定拠出年金の方は、担当する証券会社等や保険会社等のホームページなどで、現在残高を自分で確認できるはずです。それぞれ、現在の残高を確認しておきましょう。
年金制度ではなく、会社が内部留保や保険を利用するなどして、一時金のみで支払う退職金制度もあります。
その場合も退職金制度に詳細が書いてあるはずなので、毎年「いま辞めたらいくら」を計算して把握しておきましょう。
わからなければこれも人事に聞きましょう。
「え、何?辞めるの?」って聞かれたら、「老後のお金の算段してるの」って、ここでも答えたらいいのです。

万が一会社が倒産した場合は、全残高が必ずもらえるかどうかはわかりません。その年金ファンドの積立の健全性次第だし、一時金の場合はまったくもらえない可能性もあることは念頭に置いておきましょう。
退職金の受け取り方
定年で退職するとしたら、額もそこそこあるはずです。
そうなると、このもらい方というのは非常に大きなインパクトを持ってきます。
というのも、退職金にかかわる税制というのは、とても優遇されているからです。
同じ額の退職金でも一時金と年金とで所得税と住民税の額が変わる、つまり受取額が変わってくるのです。
そのため、基本はこの退職金にかかわる税制の優遇を最大限に生かして受け取ることがお得、とされています。
簡単に計算できるサイトもあります。
たとえば定年退職とともにローンを返済したい、起業したいのでまとまったお金が欲しいなど、個人の価値観・ライフプランによって必要であれば、優遇枠を超えても一時金で受け取りたい、ということもあるでしょう。
ただ、同じ額の退職金でも一時金で受け取るか年金で受け取るかによって、所得税と住民税の額が変わってくるというのはファクトなので、知っておきましょう。
そして、一時金で受け取るか年金で受け取るか決めたこの退職金の金額も、キャッシュフロー表に転記しましょう。
iDeCoがあるともうひとつ面倒
この退職金の受け取り方に、iDeCoがかかわってくるともうひとつ面倒なんです。
というのも・・・
- iDeCoは60歳以降でないと受け取れない
- iDeCoは開始から10年経過してないと受け取れない
- iDeCoを先に受け取り、退職金を後にする場合、10年あけないと退職金の優遇税制を使えない
- 退職金を先に受け取り、iDeCoを後に受け取ると19年あけないと退職金の優遇税制を使えない
ということなんです。
iDeCoは難しい。難しすぎます。
そもそも、退職金制度がしっかりしている人はiDeCoに入る必要はないんですよね。
iDecoというのは、いま若くてこれから起業するかもしれないって方々、中堅・中小企業で退職金制度がちょっと薄いなと思っている方々のためにあるのです。
すでにiDeCoをやってる人は、ここでいったん受け取り方を決めましょう。
退職金 と同時に受け取るか、ずらして受け取るかということですね。
そして、キャッシュフロー表に反映です。
ちなみに、iDeCoの受け取り方に関してのアドバイスについては、税理士よりもファイナンシャルプランナーのほうが詳しい気がします。
私は市区町村の税理士相談に電話したんですけど、その方がiDeCoに詳しくなくて、全然解決しませんでした。
ぜひとも、よく勉強しているファイナンシャルプランナーさんに相談してください。
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